ヒーターについて
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発熱のしくみ
発熱し易い金属線を導体として使用して、発熱効率を良くしたものが電気ヒーターとなります。
実はヒーター部以外の端子部、リード線部にも出力は発生していますが、ヒーター部の出力に比べて無視できるほど小さいため、
あたかも出力がないように錯覚してしまいます。
オームの法則から各部の出力の違いは電気抵抗値の違いによるものとわかります。
つまり、発熱しやすい金属線とは、電気抵抗値が大きい金属線ということになります。
ヒーターの構造
一般的にはヒーターの外側部材と内部の発熱線が、電気的に絶縁されている構造となっています。
下図のような構造にすることで、発熱線のみのヒーターと比べて、
安全に、また容易に取り扱うことが出来る、という大きなメリットがあります。
発熱線について
一般的には固有抵抗値の大きいニクロム線が使用されることが多いです。
非加熱物の形状や、ヒーター自身の形状、求められる出力によって
発熱線の太さや長さ、ヒーター内部での発熱線のレイアウトを決めていきます。
ヒーターの端子について
ヒーターのトラブルの約90%が端子部分にあると言われております。
端子は発熱線に繋ぐ部分でありとてもデリケートな部分です。
リード線と発熱線との接続方法、選定すべきリードの太さ、
どのくらいの引っ張り強度に耐えられるか、リード線の使い方などでかかる負荷など
1つ1つの内容を確認して端子構造を決めていきます。
ヒーターの絶縁材について
使用温度に関わらず、安定した絶縁特性を持つこと、発熱線の熱をムラなくヒーター外部に伝えられること、
ヒーター内部にムラなく充填できることなどの性質が求められます。
上記特性を持つ、酸化マグネシウム(MgO)が広く使用されていますが、酸化マグネシウム(MgO)には水分を吸収しやすい、
吸湿することで絶縁抵抗が低下してしまうといったデメリットがあります。
製作時、ヒーター内部の密封工程が十分でないと、完成後にも大気中の水分を吸収してしまい、絶縁抵抗が低下してしまいます。
安全に使用するためにも保管環境や作業環境など、取り扱いに十分注意する必要があります。
温度制御
ヒーター使用する際は、通電し続けると温度が上昇しすぎてしまいます。狙った温度で加熱するためには、
何らかの方法でヒーターを制御する必要があります。
手動やタイマーを使用して電源をON⇔OFFしての管理することもできますが、雰囲気温度のばらつきに対応することが難しく、
安全に制御するためにも回路内にサーモスタットが使用されることが多いです。
サーモスタットを使うことで、あらかじめ設定された温度で自動的に開路・閉路するようになり、容易に制御することが出来ます。
熱電対
温度制御や温度過昇防止のセンサーとして、ヒーターに取り付けることができます。
異なる金属間は温度に比例した起電力が発生します。この特性を利用し、温度と電気信号の変換を行います。
サーモスタットよりコストはかかりますが、
熱電対と温度調節器等の制御機器を合わせて使用する事で非加熱物の温度を高精度でコントロールできます。
安全にお使いいただくために
サーモスタットや熱電対を使っていても、取り付け方法を誤っていては正しく制御できずヒーターが暴走してしまいます。
サーモスタットであれば、温度感知面を加熱物に密着させなければ、正確な温度で作動しません、
加熱部とサーモスタット間に隙間があれば、隙間の空気の温度での作動となり、
加熱物は、想定以上の温度まで上昇していることになります。
熱電対もサーモスタットと同様、加熱物との接点を管理する必要があります。
また熱電対は異なる金属間での起電力を利用しているため、結線する際+と-を逆にすると、
全く異なる温度と錯覚してしまいます。
単純な間違いですが、ヒーターや装置の破損、最悪の場合火災まで発展してしまうため、
ヒーター設置の際は細心の注意が必要となります。